痛みの原因は人それぞれ

「○○の痛みは○○が原因!」

このような本を見かけることがありますが、実際には人によって原因は異なります

  • 筋肉や関節のトラブル
  • 首や骨盤など特定部位の問題
  • 骨の歪みや形状の異常
  • 過去のケガによる機能低下

重要なのは、あなたの症状の原因がどこにあるかを見極めることです。

当店では、画像診断に頼るだけでなく、全身の機能を丁寧にチェックしながら施術方針を立てます

画像検査だけではわからないこと

原因をさぐる方法としてまず挙げられるのがレントゲンなどの画像検査です。

骨折や断裂、損傷などの異常は病院でしか診断できませんから、重要な手段です。

当店にいらっしゃる多くの方が、それらの検査をしています。

整形外科などで行うレントゲンやMRIは重要な検査ですが、実は2つの問題があります。

① 画像の異常=原因とは限らない

画像で何らかの問題が見つかったとします。
「椎間板がすり減っている」「ヘルニアがある」…など。
このように画像で示されると説得力がありそうです。確かに、その診断自体に間違いはありません。
ですが、それらの状態が、痛みの直接的な原因となっているとは限らないのです。というより、少ないといえます。
実際は、ヘルニアなどの問題が見つかった場合でも、痛みを感じていない方も多いのです。
また、ヘルニアなどがあり、痛みを感じているケースでも同様です。
この場合、施術してみて、痛みが軽減されればそれらの画像の異常は、痛みの原因ではないということになります。
なぜなら、施術でヘルニアが消えたり、すり減った椎間板が元に戻ることはないからです。

② 画像に異常がなくても痛い場合

「レントゲンでは問題はみつかりませんでした」と言われ、シップをもらっただけという経験をされたことはありませんか?
痛みがある以上、原因はあります。ただ、それは画像には映らないだけなのです。
静止画ではわからない問題、「機能的な問題」です。

歪みよりも“機能”が大事

「機能的な問題」をご説明する前に、「歪み」という表現を耳にされたことはありませんか?
画像検査ができない整体などで重要視してる概念です。
「骨盤が歪んでいる」「骨盤がずれている」「脚の長さが違う」…整体にいかれれば、ほぼ必ずといってよいほど言われると思います。
確かに、このような状態はあります。というより、ほとんどの方にあると思います。
もっと言ってしまえば、歪んでいるのが普通ということです。

あなたはこれまでに、どこかに痛みが生じたとき、それらの歪みを矯正してもらったことはありませんか?

それによって改善されたでしょうか。
もちろん、歪みが原因の場合もあります。ですが、それは実はそれほど多くはありません。

左右非対称な身体が当たり前

私たちの身体は左右対称ではありません。
顔のつくりをみてください。それは、どんなに整った顔立ちの方でも例外ではないはずです。
映画「スターウォーズ」に登場する「ダースベイダー」をご存知でしょうか。あのマスクは左右非対称に作られているそうです。それによって人間味を出すために。
旧千円札の顔も左右で全く別になっています。(これはどちらかというと都市伝説のネタですが)「バランスを整えます」という表現があります。これは、おそらく歪みを矯正して、足の長さをそろえたりして、左右対称にするという意味でしょう。

当店が考えるそれは違います。
そもそも左右非対称なのが自然であり、整えるべき要素は別にあると考えています。
そして、それは見た目だけではなく、動作にもあらわれています。

バランスを整えるという意味

左右非対称なのは動作にもある。
これは言い換えると、動作には右手(右脚)、左手(左脚)で得意、不得意があるということです。
利き手、利き足があることからお分かりのとおり、私たちは左右で同じように使っていません。
日常生活の中からみてみましょう。(小説風で)
目覚まし時計の音で目覚めたあなたは、それを右手で止めた。そして、通勤のため自転車に乗ろうと右脚をあげたが、この時いつも左側から乗っている気がする。
途中、信号待ちで止まったあなたは、左脚で地面に立ち、右脚はペダルにのっていたかもしれない。
目的地についたあなたは自転車から降り、その左側に立って押していた。
もしこれを反対でやろうとしたら、やりづらくて仕方ないだろう。(完)

これは、どういうことかというと、右手は押す動き、左手は引く動きという左回旋の動きが得意ということです。また、右脚はあげる、左脚は引く、あるいは軸になるのが得意ということです。
これはスポーツをされている方でしたら、より実感できるかもしれません。

例えば、ゴルフのスイング。これは右手は押して左手は引いています。そして左ひねり。野球のダイヤモンド、陸上のトラック共に反時計回りですから、左ひねりです。
フィギュアスケートのジャンプも、左ひねりでおこないますが、反対では目が回るそうです。
走り幅跳びの踏切も、右脚をあげて、左脚で地面を蹴るのがやりやすいとされています。

このように、左脚は軸になって支えているため、右よりわずかに太くなっています。
そのため靴を選ぶときは、左で合わせるのがいいのです。(むくんでいる夕方で)
…あげればきりがありませんが、このように私たちの身体は歪んでいたり、左右非対称に動かしていたりしているので、それを無理にそろえようとするのは自然ではありません。
(もちろん、それらが大きければ問題ですが)

それよりも、左右の動きが、もっと言えば全身がしっかりと機能しているかが重要です。
それが、当店の考える「バランスを整える」ということです。

鍵は「関節のあそび」

いよいよ「機能的な問題」の説明にはいります。
これまで身体の歪みを整えたり、筋肉をもみほぐす施術を受けたことがある方は多いかと思います。
そのような方でも、「関節の施術」と聞くと「どういうこと?」と、イメージがわかないかもしれません。
関節は骨と骨をつないでいて、身体を動かすときになくてはならない組織です。

この関節には、普段あまり意識しない範囲の動きがあります。

これは車のハンドルのあそびやサスペンションのように、衝撃から守るバネのような存在です。
例えば、指を自力で反ってみてください。それが限界に思えても、反対の指で押すと、わずかにまだ反れるはずです。
このわずかな範囲(これ以上は動かせないギリギリの手前位)
それが「関節のあそび」です。
この、ごくわずか1ミリ位の動きが、私たちの身体に重要な役割を果たしています。
逆に、これが低下すると、さまざまな不調を引き起こしてしまいます。
例えるなら、ドアの蝶番がさびてギシギシしているような状態です。これだとドアの開け閉めに普段より、余計な力が必要になります。

それが負担となり、ドアの故障につながるかもしれません。

関節も同様です。関節が油切れの状態だと、動かすのに筋肉などに負担がかかり痛みを引き起こす原因となります。
また、関節は固いだけでなく、緩い場合もあります。
これも「関節のあそび」がない状態です。
ネジが緩くてグラグラしているイメージです。この場合、安定させるために何かで支えなければいけません。
このような状態が身体にも起こります。

例えば、むち打ち症で首の関節が緩くなってしまい、それを安定させるために首や肩の筋肉で支える。その結果、肩や首がこる。
肩の筋肉をほぐすだけでは肩こりが改善しない場合があるのは、そのためです。
当店ではこの「関節のあそび」を、多くの痛みの原因と考えています。
この関節のあそびが正常に機能していれば、多少歪んでいても痛みは生じません。
実際、ストレートネックや側彎症など、変形している方でも、施術でそれらが変化しなくても痛みは消えます。(もちろん、施術で形状そのものが改善されることもあります)
歪みなどの形状より、機能が大事ということです。

痛い所=原因とは限らない

「関節のあそび」が重要なのはわかりました。問題は痛みの原因がどこにあるか?です。
まず思い浮かぶのは、肩こりなら肩、腰痛なら腰といった具合で、痛い所に問題がある可能性です。
確かにそれもあります。私も腰が疲れることはありますが、そんな時は腰の筋肉を自分でほぐしたりします。すると、すぐに良くなってしまいます。
もっとも、これは軽度の場合、さらに全身のバランスが整っていればこそです。
多くの痛みは、このバランスが崩れることによります。
このバランスが崩れた状態は、痛い所だけで起こっている訳ではありません。
むしろ、多くは別の部位にあります。
どういうことかというと、ある部位の関節(筋肉の場合も)が固くて上手く働かなくなると、その動きを他の部位がカバーして動くため、負担がかかり痛くなってしまう。

これは「代償作用」と呼ばれ、全身のいろいろな部位に起こる可能性があります。
これは運動不足やし過ぎ、姿勢の悪さや長時間同じ状態での労働、特定の動きを多用などによって起こります。これは原因としてイメージしやすいと思います。
実は、他にもケガが原因となることもあります。しかも、ずっと昔のケガでさえも。
例えば、骨折すると固定します。それによって関節の動きが悪くなったり、逆にむち打ち症などで首の関節が緩くなったり。
ケガ自体は治っていても、関節や靭帯などの機能は問題が残ってしまうことがあるのです。
このように、問題がどこにあるのか確かめるためにも、全身の調整が必要になってきます。