技術力について5
手順や組み手は覚えて当然、次の段階はその精度を上げていくことです。
頭の中で骨と関節の動きをイメージしながら、自分の手や指の動きを自然なものにしてゆくのです。
考えなくても手や指が勝手に動くくらいまでにならなければ実際の施術では使えません。
スポーツや楽器を反復練習して身体に覚えこませる感じです。
この作業がある程度できるようになって、はじめてスタート地点に立ったといえるでしょう。
このセミナーはレベルに応じて3つのクラスに分かれていて、これまでの内容は基本クラスであるレベル1です。
この基本技術をもとにレベル2に上がるのですが、そこで習う内容は、技術、手順の多さ複雑さ、など全てにおいて格段に難しくなります。
レベル1で数年勉強した私でしたが、初めてレベル2に参加した時、数年前の衝撃がよみがえりました。
全然できない。
言われる内容も理解できない。
情報量が多すぎて、毎回頭がパンクしていました。
さらに参加されている先生方も、レベル1と違い、施術歴20年、30年以上のベテランばかりです。
出てくる質問も高度なもので、師匠だけでなく、参加の先生方につていくもの必死でした。
ですが、その真剣さを同じ空間で感じられたことも、とても貴重な経験となっています。
このような環境でもまれながら日々の施術にあたっているうちに、じょじょに技術がなじんできて、手や指に今までにない感覚が芽生えるようになってきました。
師匠の知人の、オリンピック金メダリストの方がおっしゃっていました。
「理屈だけで覚えた技術は使えない。」
「練習で限界まで追い込んだ先につかめる感覚がある。それは力に頼らない技術だ。」
私も初心の頃は手押し、指力で指が痛くなり、その割に大して効かないというムダの多い施術になっていました。
そして毎日、自分にできる限界人数を施術するなかで、力の抜けた自然な感覚をつかんでいったのです。
もちろん、金メダリストの練習と私を同列に語ることはできません。
ですが、限界を超えた先につかめる感覚があるというのは、限界値の程度に違いはあっても共通しているのではないでしょうか。
そして、技術を向上させるために努力し続ける姿勢というのも大事な要素です。
師匠はこの道50年の達人です。
この間、教えた人数は数千人にのぼるそうです。
ですが、その多くはレベル1を1年勉強して離れていきます。
その難しさから覚えられずにやめてしまう。
覚えても、実際に使えるレベルに達しない。
レベル2に上がった人でも、ある程度できるようになると、それで自分を納得させてしまう。
「一流の選手を集めて丁寧に教えても、できるようになるのはわずか。だから本物の技術をみせるしかない。」
この言葉は、師匠が技術を習得できない弟子が多いことに悩み、先ほどの金メダリストの方に相談した時の回答です。
ですが、習得の難しさを師匠の教え方のせいにしてはいけません。
なぜなら、技術というのは最終的には感覚的な域になるため、それは自分で感じ取るしかないからです。
グッではなく、フワー。
言葉にすると長嶋監督のアドバイスのようになってしまいますが、本当にこんな感じです。
このように、わずかな妥協も許さない意識で行われるセミナーのため参加者は減り、現在は十数人になってしまいました。
その残った少ないなかの一人として、私はこれからも勉強し続けなければと思っています。
(ちなみに私は20年でレベル1から3まで一通り参加しました。)

